事例紹介:株式会社サン・テクノス様 化学分析ラボ・BIM・建築DXプロジェクト
こんにちは、明段舎株式会社のブラウン・ダニエルジョンです。
「次世代の映像で生活を豊かに」をコンセプトに、ウェブとリアルの垣根のない未来を目指し、デジタルと現実空間をつなげることに取り組んでいます。
今回は、大阪市都島区で化学分析ラボを運営されている株式会社サン・テクノス様のプロジェクトをご紹介します。この事例は、増改築を繰り返した町工場や研究所のオーナー様が共通して抱える「最新の図面がない」という課題を、3DスキャンとBIM(Building Information Modeling)によって解決した、非常に実践的な建築DXの記録です。
サン・テクノス様のラボは、もともと住宅だった建物を改造して分析拠点とされており、2階はオフィス、建物全体には複雑な排気・通気設備が張り巡らされていました。今後の施設管理や設備更新のために「精緻な現況図面」が必要とされていましたが、従来の測量方法では大きな課題がありました。
それは、「業務を止めることができない」という点です。
分析機器が所狭しと並ぶラボ内でメジャーを持ち歩くアナログな測量方法は、時間もかかり、日々の繊細な業務を妨げてしまいます。そこで私たちは、多くの企業が休暇に入る12月29日を撮影日に設定。クライアント様の負担をゼロにしつつ、たった1日で全ての空間をキャプチャする計画を立てました。
今回の現場は、都市部の住宅密集地にあり、建蔽率は100%。外壁を外側からスキャンするための十分なスペースがありませんでした。建物の「外のデータ」がなければ、正確な壁の厚みや構造のつながりを把握することは困難です。
そこで投入したのが、高精度レーザースキャナー Leica BLK360 G1 と、独自の「水平三脚アタッチメント」です。水平三脚を用い、窓からスキャナーを外へ突き出し、水平方向に保持してキャプチャを行うことで、屋内、屋上、そして窓外のデータをシームレスに統合。これにより、通常では計測不可能な壁の厚みまでも、ミリ単位で測量することに成功しました。
今回のプロジェクトでは、Leicaの点群データだけでなく、Matterportによる360度パノラマ写真も同時に取得しました。これが非常に重要な役割を果たしました。
点群データだけでは判別が難しい「どのダクトがどの装置につながっているか」「複雑なスイッチ類の詳細」といった情報を、写真データとして完璧に残すことができたのです。
この膨大なデジタルデータを基に、明段舎のグローバルな制作フローが動き出します。
この「現場撮影・スキャニング × 海外BIM制作 × 日本基準の図面調整」という一貫した流れにより、現地での作業時間は劇的に短縮され、年明け以降の「測り忘れによる再訪問」は一切発生しませんでした。
住宅をオフィスや工房に作り替えて長年運用している建物では、手元にある古い図面と現況が大きく異なっていることが多々あります。
町工場やラボを運営される方にとって、この「現況の不透明さ」は、将来のメンテナンスや法的点検における大きなリスク(コストと時間のロス)となります。
今回のデジタルツイン作成によって得られたのは、単なる図面ではありません。
それは、複雑な設備をいつでもPC上で確認でき、正確な寸法に基づいて次の一手を打てるという、圧倒的な「安心感」と「経営の効率化」です。
明段舎の仕事は、単に3Dモデルを作ることではありません。
サン・テクノス様の事例のように、現場の制約を技術と工夫で乗り越え、複雑に入り組んだ「現実」を、整理された「デジタル資産」へと昇華させること。
私たちはこれからも、オーナー様が空間の価値を100%活用できるよう、建築DXの新たな道を切り拓いていきます。
明段舎株式会社の点群データ取得サービスは「デジタルツイン作成サービス」をご覧ください。